小舟からⅡ

小舟から...鉄の斧...緊箍児...そして...小舟からⅡ

楽観的って何?

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”器の大きな男”に見られたがりの父親は、いつも「楽観的な男」を装っていた。

自分のことだけならまだ良いが....事態の直前に真剣に考えている私にまで....

「そんな、やる前からくよくよしていてどーすんだ。やってみなきゃわからねーじゃねーか」と威勢の良い所を常に見せようとしていた。

 


が、世の中それほどに甘いわけもなく....大体が楽観的な結果には至らない。

いや、むしろ楽観的とは正反対の結果になってしまうことの方が多い。

すればどうなるのかと言えば....

もう....尋常じゃないほどにうろたえるのだ。

その様子は狼狽と言っても良い。

自殺しそうに落ち込むだけじゃなく、ひどい場合には家族に当り散らし、人のせいにし、いい歳こいて泣き叫ぶ....

 


そんな姿勢を何度も、何十回も、見てきていたらば.....

少しは違う道を歩めば良かったものを....

よほどにか強いDNAなんだろう、やがて哀しくも「楽観的」を振る舞う人間に自分も育っていった。

 


「楽観的」は平常時は楽だ。

「大したことにはなりゃーせん」と振舞っておれば...何も考えなくてもよい。

それでいて....あたかも”堂々としたような人間”になりすますことが....一応....出来る。

 


しかし....ひとたび思わぬ事態になったれば.....

何の準備もないばかりか....心構えすらしていないので....

堂々さはどこへ行った?恐ろしいほどにうろたえる。

 


父親同様何度もうろたえてきた。

あれだけ舞い上がっていたくせに、正反対なほどに落胆を見せ、周りの人々の気分も害したことだろう.....

何度も、何十回も、自分も、そんな姿を見せてきたと....思う。

 


しかしながらいつしか....誰のせいにも出来ない立場になって....

「楽観的」は捨てた。

 


用心深いどころか小心者と思われても構わない。

予想出来る最悪の事態になったとしても....

うろたえたくはないので....

うろたえてはいけないと思うので...

「楽観的」に魅力を感じなくなった。

 


そんな自分の未来の想定は大体決まっている。

良いことは「最小」

悪いことは「最大」

に....見積もるクセがついている。

 


例えば....収入の予定は「最低額」で、支出の予定は「最高額」で。

ならば、そりゃあ「お金が残る予想」にはならない。

なので全然楽しい予想じゃなくなる。

 


が、事態の平均は....それよりは多少マシなことが多いようだ。

つまり....最悪は”最”とつくだけあって....さほどには頻度は無いようだ。

 


今はその延長にある。

そりゃあ”捕らぬ狸の皮算用”を想像しないこともないけれど....

最悪....「ここまで駄目になるだろうな....」という残念な予想も立てているつもり....

 


そんなんじゃ未来が楽しくないだろうに....という人も居るんだが....

根拠の無かった”楽観”の喪失に加えて、見ないようにしていた恐怖に襲われる方がよほどか楽しくない。