遅くして地位や権力を知った自分は相当に焦った。
サーファーが海の王者
スキーヤーが山の王者と勝手に思い込んでたんだが
そんなスポットライトは若い時だけ。
権力者にとっては刺身のつま、
武勇伝のひとコマでしかないと知った。
町内一の成功者を自負するアホな親父を見て育った自分が「世の中を良く知っている」世の中は”町内”だった。
そこには総理大臣も居なければ、美空ひばりも長島重雄も居ない。
場末の世の中なのに....
親父が晩酌時にテレビを見てのたまう
「あんな人がよく政治家やってられるわ」」
「あれじゃ歌手とはいえない」
「もっと練習せなかんなあの選手は。甘えてるわ」
一体何様?
自慢の町内には誰一人としてそんな才能の人物居やしないのに。
何を見てきて?
何を知っていて?
そしてオレはその息子?
実態は世の中の人が誰も知らない河原乞食長屋の借家人。
そして俺はその息子。
なので、親父の作った井戸の外に出て見たらば
「びっくり仰天!」
してしまった。
反動って言うんだろう。
いい大人になり、もう人生の修正がきかないような年齢になって
急に憧れた。
なるほど....虫誘引灯として渋谷や新宿置いておけば
霞が関や永田町に邪魔者は近寄らず、いつも閑静で広々と使える。
そこに居なくても
そこに関係を持っている権力者に。
山崎豊子はユーモアを知らないおばさんじゃなくって
世の中をよ~く知っている非常に鋭いおばさんだったったのかと。
そういうの目指すんだったら....
ちゃんと幼少期からやらないと駄目だよね。
「だから塾まで通って余分にも勉強してたのか?」
そこからして甘過ぎるわけだ。
世の中の見方が。
というわけで.....これを後悔とるすならば、取り返しのつかない後悔をすることになり、
飛びつけない柳に死ぬまで飛びつこうとして力尽きることになる。
が、振り返ればやっぱり「知らなかった分だけ」憧れ、かぶれていた時期もあったのかと.....
今は完全に諦めている。
そこへの憧れや努力は無駄な時間にしかならないので。
やる気をなくしているのとは違う。
遅まきながら井戸からは出てきたものの、”普通”や”一般”からなんてまだまだうんと「上」。
それぐらいに俺は下。
俺んちは歴史的に下だったという事実。
それを踏まえて、下からは下からなりの生き方で幸せになってやるぞと。
「下」のくせして「上」ぶった親父がずっと足を滑らせていた二の舞はしたくない。
下なんで。
知識や経験だけでなく、行儀作法から何もかもが足りてない。
だから....
やること覚えること毎日毎日多いのだ。