小舟からⅡ

小舟から...鉄の斧...緊箍児...そして...小舟からⅡ

地面の感覚がある

 


今回の菊池桃子の一件は笑ってしまう。

「それみろ、俺たち下人だろ」と。

尾畠春夫さんが60歳で独身だったとしても....

こうはならないと思う。

 


優しさや思いやりを否定しているんじゃない。

「”見えない壁”は現代日本にもちゃんと存在しているだろ?」

というだけのこと。

 


この現実を無視した”夢”のような囁きに....けっこう皆踊らされている。

”握手会”なんてのは、まさに「”見えない壁”をすり抜けられるのか?」と錯覚させるだけの儀式だ。

「”手だけ”の接触が許された」だけのこと....なのに。

 


それを笑う者も同じ。

毎日涙ぐましいほど懸命働いて、気の毒になるほど懸命に節約して、

ようやくこさえたなけなしの金で....

芸という名の元に、才能という名の元に、ふんだんに投資を受けた優れたショーを拝むように見させてもらって....

挙句....

「感動をもらいました」

「勇気がいただけました」

だと....

向こうにとっちゃ

「知ったこっちゃない人間」なのに。

そりゃあお礼ぐらいは言うよ。

それでガッポリ稼いで天上人のような暮らしをしてるんだから....

 


シラケてる?

シラケちゃいない。

著名人がもう数え切れないほどの大勢になっているというのに....

俺んところには電話もメールも一つもない。

まるで....同じ国には存在していないかのような関係だ。

 


親戚に後援会というんだろうか?

ものすごく選挙活動熱心な人が居た。

微々たる集票力だったかもしれないけれども、献身的に協力していた。

 


先日死んだ。

議員さんはナンチャラ法でご供養物の贈呈は禁止されているのだろうか?

でも、お悔やみの言葉も無かったような気がする。

 


そういうことだ。

”ムコウ”にとっちゃあ役立つ時は「大変助かります」とお褒めに預かるのだけれども....

役に立たない存在になるならば....

「知らなかった人」として忘れ去られるのが下人の役目。

 

 

俺はその下人で....しかもただでさえ力がない。

資金もない。

仲間も居ない。

 


だから...俺はそんな他人のために一生懸命時間を使っていられる立場じゃないと思っている。

力が無さ過ぎて....俺や俺の家族や俺の仲間だけのためにさえもなれないのだから....

せめてソコに集中してればいいと思っている。

 


こういうのは....

「身分をわきまえる」

というんだと思っている。

 


不幸感は全くない。

妬む気持ちも残念な気持ちも全くない。

「違う世界の人だから」

ただ、それだけ。

 


下人の方が仲間が大勢居る?

そんなマイルドヤンキー的発想でもない。

 


下人のくせして....上級社会の人とも”わかりあっている”

なんていう....勘違いの中で生きていた頃よりも....

うんと地面の感覚がある.....

ことを信頼しているのだ。

 


むしろ....下人なので、誰に媚び諂うこともなく....

さばさばと爽快に生きている

と思っている。