小舟からⅡ

小舟から...鉄の斧...緊箍児...そして...小舟からⅡ

DNA

 


有難いことに子供たちはほぼ独立し、まあまあに育った。

まあまあで十分。

ダースベイダーにさえならなければ....

 


ただ...注意をソッチに払ってもいたので....

もう少し...勉強だとか、進学だとか、就職だとかに熱心になってやった方が良かったかな?と

親としては申し訳なく思う。

 


きっと子供たちにとっては...「まさか!」だとは思うけど....

 


子供が行きたい学校を卒業するまでが親の責任だと決めていた。

まあ、他にも責任はあるんだろうけど...

とりあえずそれは済ませたのでホっとしている。

 


正直、この15年でダースベイダーからは少し離れたと思う。

甘いか?

 


小学校や中学校の同窓生に会うと....

随分変わったとも言われる。

 


大した努力じゃないが、考えないよりは考えるようになって良かったといったところだろう。

 


しかしながら....それは表に出ている”自分”であって

中に潜んでいる”自分”は誰も知らない。

が、”オレ”は知っている。

 


いや、”うわべだけ”でなんて人間変わらない。

出来る限りくそ正直に考えてみて...

ようやく”自分の正体”も見えてくる。

 

 

20年前からの思考は、結局のところは「正直な(正確な)自分の把握」に行き当たり....

そこで見た自分の姿は....

ま、親父そっくりのダースベイダーだったわけだ。

映画さながらに....

あれだけ嫌い、非難し、軽蔑していたことは一体何だったのか?と言うぐらいに....

 


20年前の分岐点では違和感しか感じなかった。

何が気持ち悪いんだか...

何が情けないんだか....

何も見えてなかった。

 


ただ...なんとなくにただれた肉体であるように感じたので....

無駄な肉を削ぎ落とすように走りだした。

むしろ....何もわからずに走りだした....に近い。

 


それが....「俺もダースベイダーだったのか?....」に着くとは夢にも思わない展開なんだが....

 


本人は...

よかった。と思っている。

死ぬまでに気がついてよかった。と思っている。

 


ダースベイダー気質は完全には消しきれないだろう。

いや、少しも減らせないものかもしれない。

DNAなので、きっと生涯無理なのだ。

 


だから生涯緊箍児はめてなければならないとは思っている。

あんまり良い気分じゃないけれど。