小舟からⅡ

小舟から...鉄の斧...緊箍児...そして...小舟からⅡ

安泰の未来...ねぇ....

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遥か彼方の昔...

まぐれのまぐれで...

公務員になってしまった。

 

喜んだ。

なんせ最下位の成績だったこともあるのだ。

そこから...「普通の」人生が、まさか一度の試験で、手に入るなんて、

自分だけじゃなく、周囲も全く想像していなかった(笑)

 

正直「なりたい職業」じゃあなかった。

というか...「なりたい職業」なんて考えたことがないほど不真面目だったので、ある意味「どんな職業でも」良かったわけだ。

それが...公務員...フ、フ、フ、フ...

 

人によっては「そんな次元で何喜んでんだ?」程度なのかもしれないけれども...

なんせ最下位からなので...

日雇いやアルバイト生涯だってあり得る分際...

ぐらいはわきまえていたから...

 

一挙に「平穏な日向」に出てきたようで...

ほくそ笑んだ。

 

就職前後に様々なガイダンスを受けた。

ほぼサボったんだが...

一応に資料に目を通してみるならば...

ザックリ...

「犯罪さえ犯さなければ...定年まで安住」

は読み取れた。

いや、〇〇関係の書類や人づての噂だと...

「軽微な犯罪までならそれさえもOK」のような話も聞いた。

 

あわや根なし草だった自分が...

まさかの...安定人生...

こりゃもしかして...夢にも見なかった...「マイホームパパ」とやらになれるんかいな?

とかまで見通せるようになると...

人生観は変わった。

 

たかだか公務員と言っては公務員の方々に失礼だけれども...

たかだか職業だ。

公務員だけを特別崇める方に民主主義的問題はある。

決して就いた職業で優越感を得ることなんか...あっちゃいけない。

 

が、明らかにチンケな”優越感”は登場した。

自分の脳内に。

 

あれだけ遊んでいても。

これだけヒドい奴でも。

これで、平均的な人生が、保障されたんだぜ。と。

 

今にして思えば大した努力じゃない。

たった一回の試験だ。

 

それでも終生の安泰を手にしてしまうと...

「もう努力なんてしねー」

とばかりに遊び惚けた。

キリギリスなんて簡単に誕生する。

 

そりゃあ失格しないようにどころか...

非難されることもないぐらいには気をつけた。

 

そんなに難しくない。

「見つからなきゃいい」のだし、

「遊んでいるように見えなきゃいい」だけだ。

 


まあ、こんな調子で「終生安泰の人生を俺は手に入れた勝者なんだ」

と思っていた。

 

それが「真逆の未来」への第一歩になるなんて知らずに。