そりゃあ上級国民と下人とどちらが良いかと言われるなら...
上級国民のが良いに決まっている(笑)
でも、成れないだろう。
ましてや俺の親父だ。
故郷から逃げるように出てきた家のくせして...
家系図も存在しないのに...
「我が〇〇家は...」
なんて大臣一家のようなことをホザいていた。
「ウチに生まれて来たってことは幸せな方なんだぞ。」
クーラーは友達の家で初めて見たシロモノだ。
”みかん”がデザートだったので、紅茶にケーキを出された時は戸惑った。
ハンバーグはマルシンハンバーグが”本物”と信じ込んでいたので...鉄板の上に乗せられた肉の塊の意味がわからなかった。
この感覚で...上級国民なんかになれるはずがない(笑)
さほどに成績が悪かったわけじゃないが...
進学とか、環境が変わるたびに感じた。
(上品な家庭ってけっこう多いんだな...)と...
多分「普通」ですらそう見えた。
多分さほどに上品でもないのだ。
我が家が「下品なだけ」なのだ。
「昔だったから」じゃない。
まあまあに稼いでいたはずなのに...
全て「借り物」暮らしだったのは...
イザという時に「逃げやすい」からだと言っていた。
最初っから...
「イザという時は逃げる」ありきの人生設計なのだ。
だからか、お袋はよく泣いていた。
稼いでも...余った金は散財した。
ゴルフに酒に麻雀に女に...父親は「夜に家に居る」という習慣が無かった。
散財して「遊び上手」と呼ばれることを勲章のように喜んでいた。
アホだ。
そして...
そんな環境は嫌に決まっていたんだけれども...
あまりにも日常だったので...慣れ過ぎていたんだろう...
「こんなものだろうと」思っていた。
「おかしいよな」
と気が付き出したのなんて...
ここ数年の話。
だから...どっぷり下人なのだ。
どっぷり「育ちが悪い」のだ(笑)
今はそんな実家も離れ、ヨソの家庭で育った他人と暮らしているので...
一応現実の世界じゃあ...「生まれ変わった」かのように..
上手に繕っているつもりだけれども...
時折気が付いているよ。
「自分の育ちの悪さ」に。
ビックリするって。
「親父ソックリ」なので。
それでも...気が付いただけマシだと思っている。
この「育ちの悪い感覚」を「普通だ」と
知らずに堂々と威張っていた「かつて」の方がうんと恥ずかしい。
「育ちの悪さ」は気の毒だけど...多分「生まれ変わった」ようには消すことは出来ないだろう。
せいぜいバレないように工夫するが関の山。