小舟からⅡ

小舟から...鉄の斧...緊箍児...そして...小舟からⅡ

大谷君が引導を渡してくれている


かつてはスポーツで飯を食っていた身分なので...

「大谷君」についての感想を求められることが多い。

特にこの一年はそうだった。

 

が、真面目に回答しようと思うと実に困る。

頭の中に「まともな答え」が浮かばないからだ。

 

この一年、毎日のように「大谷君」はトップニュースに登場した。

腕を手術し、看板の「二刀流」を諦めなければならないシーズンだったはずなのに...

結果は大活躍であり、公言していたワールドシリーズまで優勝した。

 

それらを評する体験も、能力も持ち合わせていない自分が、何を思うか楽しみでもあったんだが...

ここまで来ると...あまりにも自分と違い過ぎて...むしろ...「何も思い浮かばない」のだ。

 

嫌いでもないし、凄いなと素直に思える。

でも...「似たような人」さえ、自分の人生の身の回り、いや、噂でも...居たことがないのだ。

ちなみにカップルとなってからでも...あんなにデカいカップル見たことない。

仮に自分が同席するなら、子供...と言いたいぐらいだが年取っているので...

さらなが「連れられてきた宇宙人」のようになってしまうんじゃないだろうか...

 

最初から「引き離されている」のに...

この一年は「さらに引き離されていった」カンジ...というのが今のところの感想だろうか...

 

ただ...それが「悪いこと」とも思っていない。

人間として...「あまりにも何もかもが違う」ので、「見習うところ」も「意識するところ」も存在しないから。

仮に同学年であったとしても...私には「彼の出来ること」が何一つ出来るはずがないのだから...

「その上に」私は彼と違ってすでに「下り坂」の人生になっている。

これから...

もっともっと「差が開いてゆく」のだ(笑...しかないだろう...)

 

哀しい...なんてこれっぽっちもない。

ある意味「実に清々しく」老後に向かえている。

彼は彼、自分は自分だ。

悔しいと思える箇所すらないのだから(笑)

 

この一年、そして今後のスケジュールも、妙に忙しい。

もう年末まで埋まってしまった...ぐらいに。

忙しい...んだけど...どれもこれも「大谷君」には必用のないようなヤボ用だ。

だからかき集めているわけでもないんだけど...

「大谷君」でもない自分が「必要とされている」んだよな...ということぐらいは...

応えておきたいな...ということが多くなっている。

 

こんな自分でも、若い頃はうんと自惚れていて...

夢や未来を語る論争で熱くなり過ぎてブチ切れていたこともある。

懐かしいというよりも、相当に恥ずかしい。

ブチ切れるほどの能力もなかったくせに...

実に無駄な時間を過ごせていた...悠長な時代だ。

 

競技への復帰の準備のためにしていたトレーニングをアッサリと「健康のためのトレーニング」に変更出来たのも「大谷君」のおかげだと思う。

自分の中の「大谷君」はキビシイ。

「もうお前には”競技”なんて似合っていないぞ」

とでも言わんばかりの眩しさなので。

 

この一年。

何十回、いや何百回窘められたことだろう。

「柳に跳びつく蛙」だったからこそ成し得たこともあるとは思うんだが...

アッチコッチ痛いところだらけでもある。

大谷君は...「だから...俺とは違うんだって...」と見せつけてくれる...

 

自分が出来なくなってから...スポーツへの関心は遠ざかってはいるものの...やはりどこかで「自慢したい部分」もあったりしたんだが...

そんな自分に「大谷君」は引導を渡した...

って一年...だったかな(笑)

 

そうそう..オリンピックで問題になった阿部詩さんの大泣きも自分は非常に無関心だった。

年老いたおっさんが真似できる領域ではないから。

仮に相当悔しい敗戦をした時であったとしても...

私がああだったら...

相当にみっともなくて見てしまった人にご迷惑をおかけするだろう...

 

そう。

人は人。自分は自分。

としてから...なんだか妙に忙しくなっている気がする。

うん、気のせいかな?