小舟からⅡ

小舟から...鉄の斧...緊箍児...そして...小舟からⅡ

ベイダー卿

 

 

 

逆転の日は...

「ついに親父から解放された」

と、当時は思っていた。

ささやかな”独立記念日”のようなものも感じていたし...

 


が、今にして思うなら....

あたかもスターウォーズのような話で....

新たなるダースベイダーが誕生した”瞬間”だったのかもしれない。

 


”愛情”にしろ、”憎しみ”にしろ、”意識”の現れだ。

「何も感じない次元」には生まれない。

 


嫌悪感を抱いているはずなのに....

はたまた”環境のせい”にしてちゃいけないんだろうけど....

やっぱりそれが「当たり前」として育ってきた感覚には恐ろしいものがある。

 


「真面目じゃない」のだ。

自分自身は「真面目」なつもりであっても。

 


世間様の”真面目”と自分の考える”真面目”は完全にズレているのだ。

なのに...

軽蔑する父親と自分の考える”真面目”はそんなにもかけ離れたものではないのだ。

多分....

これぞDNAの成せる業なんだろう。

 


というか....

自分の”真面目”には甘く、人が”真面目”かどうか....のハードルはえらく高い。

そう言った方がわかりやすいだろうか....

 


優しさ、努力、悩み、苦労.....

様々なお荷物が、自分には大袈裟なほどにお荷物、苦労、だから自分は大変....であるのに、人様を考える際には....「そんなことぐらいで」とタカをくくるのだ。

 


ナメている。

そして....「人とは違う」

....哀しいぐらいに親父に似ている自意識だ。

 


言っているほど実は自信なんてありゃしない。

逆だ。

自信がないから.....

他人を「見下していたい」のだ。

自分を特別なものに崇め、他人を見下していないと.....

「安心できない」のだ。

何かの瞬間には即座に逆転されて「見下され」かねないので。

 


虚勢や自慢、武勇伝?

本当に自信のある人間にはそんなの要らない。

 


承認欲求なんてもある意味危険信号で、その入り口かもしれない。

 


早いうちにやがて「見下されないような」虚勢を張る。

予防線を敷く、とも言い換えられるだろう。

いろいろなところで、あちこちに、「見下されないような」種を撒く。

 


逆転の日は....

なんのことはない、姑息なダースベイダー2世を倒した、もっと姑息なダースベイダー3世が誕生した日だったかもしれない。