小舟からⅡ

小舟から...鉄の斧...緊箍児...そして...小舟からⅡ

どうしてもソッチを選んでしまう...人

 

 


借家ゆえの都合だけのことだったんだけれども...

長い間祖母と隣同士で暮らしていた。

 

の割にはそういえば祖母の人柄を知らない。

母との仲は悪く...

いわゆる嫁VS姑は険悪で、父親が帰宅したがらない原因の一つでもあったような気がする。

 

祖母には父同様学歴がない。

が、父がそれを覆い隠すように...多数の新聞購読や読書を自慢し、触った程度のクラシック音楽や美術への造詣を自慢するのに対して...

見事なほどに

「わたしゃ無学でアホだから」

と開き直っていたところを見ると...

そういった人格が好感を持たれたのだろうか?

人が集まり、割と多くの財産を残した。

 

父にも母にも....

その”嫌いな”祖母が生きているうちには、恩恵がたくさんあったようで....

お金も、地位も、知人も、授かっていた。

そして....祖母の死後はそれを引き継いだ....

 

はずだったのに....

他人はもとより....

親戚筋まで離れていったのは....

祖母のせいではないのだろう。

 

その祖母が亡くなる数年前に

「あの男(祖母の息子で私の父)は、ほんとうにこすっからいから気をつけなさいね」と言われた。

いや、もうすでに把握はしていたんだが...

まさか実の母親にまでそう思われていたなんて....

 

で、その母親が確信した通りの人生を彼は歩いている。

 

せっかく残してくれたお金とて....

多分もう無いんだろうね。

 

彼が「選びやすい間違いのボタン」を得意げに選択してきた場面は....

もちろん山ほど見てきた。

いや、今も見ている。